よしたろうブログ

設計・人文知・歴史・哲学・漫画とかの話が好きです。

いい仕事をしたいなら走ろう

運動は脳に送る血流を活発にする

脳は酸素・栄養素を大量に消費している。それらは血液にのって心臓から脳へ送られる。

1分間に心臓から脳に送られる血液の量は、1.4 リットルほどと言われている。
1日あたりの量(60分×24時間=1440分)換算で、約2,000リットルほどの量の血液が毎日心臓から脳に送られている。

ウォーキングをはじめ、運動はこの脳へ送る血流量をおよそ10倍に増やす。
運動によって脳の血流が増えるということは、それだけ新鮮な酸素や栄養分がよりたくさん脳に届けられるということになる。
運動は脳に良いということが理解できる。

脳への血流増減は何をもたらすか?

血流の役割として、酸素や栄養の供給の他に、不要物や代謝生成物(二酸化炭素など)の回収のなど側面も大きい。 血流が低下すれば、ゴミが貯まるのだから、その時点で血流の低下は健康に良くないことはそく理解できる。

脳血流の軽度な低下は、短期的には睡眠不足や強いストレスを受けたりすると起こるが、長期的には年をとったり脳梗塞心不全にかかったり、継続的なストレスを受けたりすることで起こる。さらに喫煙や高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病による動脈硬化でも慢性的に脳血流が低下することが指摘されていて、これらは全て認知症の危険因子で、生活習慣病の大きな主要因は運動不足。

我々エンジニアにとって他人事では全くない。

軽度な脳血流の低下であっても長く続くことで、脳内炎症・白質傷害を主に介して、軽度な認知機能障害になることも判明している。 つまり、少し荒めな因果関係の説明だが、まあ運動不足は仕事のパフォーマンスを損なうことに異論はないはず。

運動すれば、身体の不具合は大体よくなる

かつて人類は400万年もの長きにわたって狩猟採集生活を続け、お腹がすいたら獲物を求めて遥か遠い土地まで移動するというように、圧倒的な活動量の中で脳を鍛え進化してきた。

人類は長期的持続的に低速走行できる様にデザインされている。二足走行をバランスよく効率よく行えるための臀筋(大・中・小の三層構造)による歩行・姿勢保持、脊柱起立筋などの筋群による姿勢補助などの機能は、狩猟採集時代に獲物を追い詰めるために発達したといわれている。長時間の低速走行を可能にしている哺乳類は人類のみである。逆に4足による短時間高速走行を捨てた(いわゆるドラミング走行)。ゴリラとかあいつら地味に時速60kmで走れるからな。短時間だけど。人類は遅いけど長く走れることで、狩を可能にした。

かなり雑に話したけど、人体というのは長時間の運動を行うための設計になっていて、それが前提としてその他の内臓系・分泌系・骨格系・血管系などの系が連動する。系とはシステムで、システムの集合体が人体である。細胞が集合し機能と構造を定義し、それらの集合体が系(臓器とか)。

何万年というスケールで適合・進化してきた人体は、ここ100年という短期間で激変した生活環境に適応できていない。
生活習慣病の原因は大体ここら辺にあると個人的に思っている。

これはかなりの共通認識として語られることだけど、人間はもう進化できないと言われている。それは環境に体が適合するために必要な時間というものはかなり長い時間が必要だが、人類はそんな時間をかけて自身を変えるより環境を変えるという選択をとり続けてきたからだ。 とはいえ、高山で生活している人は赤血球の数が多かったり、牛乳しか飲めない地域の人は乳糖不耐症をクリアしてたりするけど、これはわずか数世代で進化しているので、まだまだ謎があるんだけどね。

僕たちの体のほとんどは運動(長距離低速走行)を前提としていた狩猟採集時代のデザインが基本となっている。海外のチャリンコ選手(ツールドパリのプロ選手たち)は足ムキムキだけど、骨が老人並にスカスカの密度になっている。走ることで骨への衝撃を与えることでしか分泌されないホルモンがあることが判明している。しかもこれは、骨密度に関係する以外にも内臓機能を正常に保つ機能があることもわかった。

走るのだ。とにかく走るのだ。

脳血流の増加がもたらすもの

記憶力というものは加齢とともに低下していくのは最早常識ですが、ここ最近の研究で運動によってある程度改善できることが示唆される研究が多く存在する。脳血流の増加により海馬の神経群・脳細胞の新生が高齢になっても行われることが分かっている。

海馬が大きくなる=記憶力がUP

このことは、海馬を対象にした実験で数多く報告されている。脳細胞の数が増え、それぞれの連結部分が太くなっていくと、重さにも変化が出てくる。

息が上がるぐらいの中強度の有酸素運動を継続的に実行すると年をとっても神経細胞ニューロン)が新しく再生されたり、毛細血管が増加する。そのため、ジョギングなど中強度の有酸素運動を継続すると、心臓や肺の機能が高まり酸素が体の隅々まで行き渡る。解剖学的に血管系とは心臓・大動脈・動脈・細動脈・毛細血管・細静脈・静脈・大静脈となっている。この中で一番の主役は「毛細血管」である。ここが酸素と栄養の補給と、代謝産物の回収(ゴミ集め)が行われるからだ。

毛細血管内では二酸化窒素が発生して血管が柔らかく強くなって、破れたり、詰まったりしにくくなる。また、有酸素運動によって、脳内で傷ついた毛細血管の代わりに、新しい毛細血管がつくられる。それによって、さらに新しい神経細胞ができ、シナプスも生み出されるので、一度衰えた「脳内ネットワーク」を強化することができる。

筋肉や美容などは二の次なのだ。運動の最大の効果は、脳のニューロン新生・再生と毛細血管の発達なのだ。

結論「仕事でパフォーマンス発揮したいなら運動しよう」

昔から文武両道は難しいと言われがちだが、理屈の上ではむしろシナジーによって達成しやすいともいえることがわかる。
たんにやる気がないからできないと言ってるだけにすぎないわけだ。

ランニングをすると、主に「海馬」と「前頭葉」が鍛えられる。海馬は記憶力、前頭葉は脳の司令塔として、集中力や計画力、発想力、判断力、思考力、そして感情までをも司る。役割を会社の役職に例えるなら、前頭葉が「社長」で、海馬はその補佐役の「秘書」といったところ。

いい仕事したいなら、運動で脳を鍛えるのが効果的。

余談だけど、筋トレによる効果は筋肥大と筋神経出力の増強がある。
30分以上の中強度以上の有酸素運動は、筋トレによる筋肥大効果を阻害することが判明している。
長時間の低速走行する適応方向に筋肥大は不利な形質変化で、相容れない性質なのがわかる。
ちなみにブルース・リーは筋肥大していないが、とんでもない膂力を持っていることで有名だった。
神経出力が以上だったのだろう。実際にそのためのトレーニングばかりしていたことが知られている。